実践事例集：６施設の環境づくり現場レポート
６施設の環境づくり現場レポート
現場の工夫に注目
「６ステップの施設環境づくりプログラム」に、現場はどう取り組んだのかを知りたいという声が寄せられています。これまで専用窓口の中だけで見られた現場レポートを、施設の許可を頂き大公開します。出来上がった成果より、環境づくりプログラムに、現場でどう取り組んだかにご注目下さい。各施設の工夫の数々を参考に、あなたの施設でも身近なところから、環境づくりにチャレンジしてみませんか。
なお、この取り組みは、「日社大をかこむ地域福祉連絡会会員の特養６施設」＋「児玉研究室」＋「ケアと環境研究会」が２００５～２００６年に行った実践研究です。ここで実践した全てのプロセスを行う必要はなく、あなたの施設に合った工夫をして取り組んでみて下さい。現場レポートは、影山優子（当時社大大学院、現西武文理大学）と青木隆雄（当時社大大学院、現三井情報（株））が担当しました。
参加施設のプロフィール
清瀬市、東久留米市、小平市の施設が参加しています。
信愛の園特別養護老人ホーム信愛の園のレポートページへ
●施設の概要：清瀬市にあり定員１８２名の大規模施設。５階建ての２～５階が居住棟。施設の開設は１９７０年で、１９９９年に全面改築され、スペースの余裕がある。
●環境づくり：大規模な従来型施設のケアと環境を見直す目的で参加。認知症対応フロアの２階と身体介護度の高い４階で、入居者が日中過ごす場所の見直しに取り組む。４名の介護職員、生活相談員、介護課長がコアメンバーとなり、職員多数が参加。
●その後の取り組み：トイレ工事やいすの張り替え工事を実施。４階の環境づくりは維持される。
多摩済生園特別養護老人ホーム多摩済生園のレポートページへ
●施設の概要：小平市にあり定員１０６名。４階建ての１～３階が居住棟。施設開設は１９７７年であり２８年が経過しているが、大規模な改修は行われず、旧基準で狭い。
●環境づくり：すでに環境づくりの実績があり、効果を検証するため参加。１～３階の全てのフロアで、老朽化した中でも、快適に過ごせる居場所づくりに取り組む。主任と３名の介護職員がコアメンバー。
●その後の取り組み：２００８年に個室ユニット型新棟が完成。環境づくりはケアの一部となっている。
やすらぎの園特別養護老人ホームやすらぎの園のレポートページへ
●施設の概要：小平市にあり定員１００名。３階建ての、２～３階が居住棟。施設開設は１９８４年であり、重度認知症対策として特別介護棟があったが、介護保険の開始に伴い廃止。
●環境づくり：ケアや環境を見直すきっかけとして参加。環境づくりは２～３階で、居場所づくりに取り組む。２名の介護職員がコアメンバーとして取り組む。
●その後の取り組み：職員態勢の見直しを行い、ケアの向上への取り組みが行われている。
マザアス東久留米特別養護老人ホームマザアス東久留米のレポートページへ
●施設の概要：東久留米市にあり定員８０名。３階建ての１～２階が居住棟であり、１９９５年開設。平均介護度４を超えており、６施設の中で最も重度化が進んでいる。
●環境づくり：従来型ですでにグループケアに取り組み、グループケアにふさわしい環境を目指して参加。６ユニット全てで環境づくりに取り組む。各ユニットから選出された介護職員がコアメンバーとなり、全員参加で取り組む。
●その後の取り組み：２００８年に職員参加により、従来型から６ユニットに大改修。環境を活かした個別性の高いケアを指向中。
シャローム東久留米特別養護老人ホームシャローム東久留米のレポートページへ
●施設の概要：東久留米市にあり定員８２名。１～３階が居住棟。１９９２年に開設して、２００４年にユニット増設などの工事を実施。
●環境づくり：増設したユニットを活かすための環境づくりなど、全てのフロアで取り組む。各フロアのコアメンバー、事務長が中心に進める。
●その後の取り組み：期間中にはできなかった畳スペースの工事などが行われ、小グループでのケアに取り組む。認知症フロアは、落ち着いたよい雰囲気となっている。
清雅苑特別養護老人ホーム清雅苑のレポートページへ
●施設の概要：清瀬市にあり定員８２名。３階建てであり、２～３階が居住棟。施設の開設は１９９６年であり、大きな改修は行われていない。
●環境づくり：従来型施設のケアと環境を見直し、ご家族や入居者の居場所の確保を図る。はじめから１フロア４０万円の予算が施設長より示された。５名の介護職員と相談員がコアメンバーであり、全職員を巻き込んで取り組む。
●その後の取り組み：コアメンバーを計画的に交代させながら、毎年環境づくりに取り組んでいる。