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実践事例集:認知症ケアと施設環境づくり

認知症ケアと施設環境づくり-実践に学ぶ⑩

重度化対応で食堂改善

現場レポート7

シャローム東久留米は開設から14年目を迎える施設です。4階建ての1~3階部分が特養、4階にデイがあります。2004年に外壁補修、個室増設等の大規模な改修・修繕工事を行い、昨年、ケア充実のために「環境づくりプロジェクト委員会」を立ち上げ、各フロア毎に取り組みを行っています。特養にはショートステイも含め92名。一階は生活全般において自立度の高い方。2階は医療的・看護的ニーズの高い方、3階は認知症ケアの専門フロアとしていましたが、近年要介護度やADLも重度化の傾向がみられ、認知症への対応、個別ケアの充実等が全フロア共通の課題になっています。

【1階】 食堂のソフト・ハードを

一階でも最も改善すべき場所として不満の声が多かったのが食堂です。スペース的に娯楽、生活の中心を担ってきました。利用者と職員から、水周りが少ない、中央に柱があり使いづらい、多目的に利用しすぎてかえって活用しづらい等のハード面の課題があげられました。改修の際にも、一階の食堂には手がつけられておらず、利用者のADLが落ちているにもかかわらず、テーブルの配置や、見守りが不十分で、実際に誤えん事故が起きたり、厳しい状況でした。

一使いやすいシンク
食堂には車椅子でも使いやすいシンクを設置した

まず、できることからということで、食堂の配置換えを行いました。以前は、介助の職員を1カ所に集めていたのを、3カ所にばらして職員が食堂を見渡せるようにしました。それだけでも、見通しがよく、雰囲気も明るくなり、スペースの有効活用ができるようになりました。2階でクラブ活動をするようになり、娯楽と生活のスペースも分けました。最終的には以下のような整備を行いました。

  • 流し台の交換
  • 手洗いシンク2器の増設
  • 床材の張替え(色選びは利用者の方の意見を反映)
  • 段差の解消(廊下からのアプローチ改善)

シンクは車椅子の方もアプローチしやすく、伸縮式の蛇口は拘縮のある方も使いやすい構造のものを選び、床材はじゅうたんからクッションフロアにし、色もブルーからピンクへ変更した結果、明るい雰囲気になりました。備品を整理することで窓際に「くつろぎスペース」を確保しました。

【2階】 多目的スペースを模様替え

くつろぎスペース
備品を整備し、ピンクのソファーを置いた「くつろぎスペース」

2階は改修時に、個室の増設と、多目的スペースをつくっていました。この場所が居室、食堂以外のセミパブリックスペースとして、利用者、面会家族に居心地のよい場所となり得るかを検証し、改善しました。

いすやテーブルはカバーを架け替え、クロスを敷く。金属性のものはなるべく廃し、暖色系のイメージでまとめるなど、なんとなく殺風景だったのを利用者に気持ちよく使っていただくための模様替えをしました。引き続き、検証を続けていく予定です。

【3階】 デイルームで快適に過ごす

3階はデイルームに4~5畳の畳スペースを設け、足を伸ばし食事ができる場所を考案しました。しかし、より快適に過ごす提案を専門家の方から受け、次年度への継続事業となっています。

今回は工事を要するものから模様替えまで多様な展開となり、完結に至らない取り組みもありましたが、環境づくりを計画から実行に移す過程で、施設においてもその人らしい生活の継続を支援することの大切さを体験し実感できました。

シャローム東久留米  堀之内克哉
シルバー新報 2006年(平成18年)7月14日

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