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実践事例集:認知症ケアと施設環境づくり

認知症ケアと施設環境づくり-実践に学ぶ④

4人でミニモデル先行

現場レポート1

新鶴見ホームは2006年5月開設で、利用ベッド数が270床の大規模施設です。

重度認知症フロア70床(25名×2ユニット)は認知症高齢者の日常生活自立度ランクNの方が全体の7割、平均介護度は4.5で、終日徘徊、奇声、頻繁な異食行為、暴力行為もありますが、同一フロアでのターミナル対応も行っています。ここで04年度に拘束廃止に取り組み、その延長で翌年度からの環境づくりのプロジェクトに取り組みました。

取り組みにあたっては、コアメンバー4人を選出し、小規模モデルケース(ミニモデル)を企画したのが特徴です。少人数としたのは勤務調整がしやすく集まりやすく、負担が少ないこと、結果を出すことで、環境づくりに関心を向け、第2弾のパートも含めた全職員参加のプロジェクトにスムーズに移行するのがねらいです。①短期間で結果が見え分かりやすい、②手順がわかりやすく取り組みやすい、③使い勝手が良くなる、④低予算(3万円以内)を条件にしました。期間は6月から8月の2カ月半としました。

6月12日に開かれた第1回のプロジェクト会議では「臭い」「暗い」「使い勝手が悪い」と不評だった食堂の近くにある2カ所のトイレを対象に階層を行うことを決めました。

換気が悪く、夏は蒸し暑い状態で、入居者・介助者ともに不快な思いをしていました。時には食事中に匂いが充満することもあるほどです。個別ケアを実践するために環境を整えることはPEAP(認知症高齢者への環境支援指針)の次元の「機能的な能力への支援」にあたります。狭いスペースで、1対1の介助を行う場所のため前後の変化が分かりやすいと考えました。

写真を撮影し、良い点、悪い点、直したい点を整理するなど「施設環境づくり実践ハンドブック」に順じて展開し、「快適でリラックスして排泄ができる」「清潔で家族やワーカーも使いたくなる」を目標に具体的な改良点を詰めていきました。

写真はその前後の変化です。花柄テープを張り、造花も飾りました。ぼろぼろになっていた保護剤は撤去。写真ではわかりませんが、クリップ式のミニ扇風機も設置しています。広い壁に2本のテープを張ることで座位が落ち着く方もいました。見た目が変わったことで会話が生まれ、介護をする側も快適度が上がり気持ちにゆとりができる結果となりました。目に見えるかたちで変化があり、結果を出したことで「環境づくりってできるんだ」とコアメンバーも自信をもつことができました。

こうしたプロジェクトの進行状況は「環境づくりニュース」として約2週間ごとに他職員へ広報していたため、第2弾への移行もスムーズに行きました。フロアの職員を6グループに分け、1チーム4~5名の構成とし、新人職員がリーダー、中堅職員がフォローを行いました。

グループ単位で行うメリットとして、理解が深めやすく、集まりやすい、競争意識をもつことができる点があげられます。重度フロアで入居者の身体状況の変化が激しいことや、環境を使いこなすことの難しさも感じていますが、PEAPを使ったことで指標が明確になり、入居者の生活を見直すきっかけになったと考えています。

大掛かりなプロジェクトは現場の負担になりますが、少人数でできる範囲から開始し、自信をつけたメンバーがフロア全体のプロジェクトの求心力になり、全体に広げていく。そういう取り組みはいかがでしょうか。

新鶴見ホーム課長 中嶋恵美子
シルバー新報 2006年(平成18年)6月2日

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