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実践事例集:認知症ケアと施設環境づくり

認知症ケアと施設環境づくり-実践に学ぶ③

キャプション評価法

カメラ片手に施設調査
1:まず施設の魅力や問題点を様々な人から集める

  • 今回はキャプション評価法という参加型の調査法を用いました
  • ①カメラを持って施設内外を自由に歩き回る
  • ②施設の○な点・×な点を見つけたら、その場所や場面を写真に収める
  • ③写真に「何の・どんなところに・どう感じたのか」を明記したキャプション(コメント)をつけ、1枚のカードにまとめる

この調査を、職員など施設に関わる様々な人にやってもらいました。各人平均10数枚の写真を撮るので、すぐに100枚以上のカードが集まります。日頃から思っていたこと、初めての発見、入所者や家族ならではの指摘など、遊び気分の楽しい作業でした。この後、多くの環境改善の取り組みが自然発生的に始まり、職員の意識が確実に環境に向いてきたと実感されました。

写真は評価のきっかけなので、上手下手やどんなカメラで何枚撮ろうとOKですし、写真に写らない事柄も歓迎です。一番大切なのは、決まった形でキャプションを書くことです。自由気ままに書くと、何百枚と集まるのでどうしようもなくなります。だからこそ、定形で要点だけを簡潔に記すことが、結局は思いを共有する近道になるのです。

2:集めた情報を整理して、施設の課題をまとめ、目標を立てる

集まったカードは何人かで一緒に整理し、PEAPの次元や場所ごとにまとめると、実状が見えてきました。ただ整理に没頭するのではなく、作業しながら話し合うことが肝要です。具体的な情報を見ながらの議論はわかりやすく、共通認識を得やすいものです。こうしてどこにどんな問題があるのかが浮き彫りになりました。そしてそれらの問題から、施設全体としてどんな課題に取り組むか、いくつかの目標をたてることができました。

キャプションカード整理
皆で意見を出しカードを整理しながら課題を詰める

ここまではあくまでも課題を見つけて、共有することが主眼です。キャプションを書いたり、カードを見ながら話し合うと、すぐに「こうすればいい」と改善案に話が行きがちですが、物理的環境を整えたり、ケアを工夫したり、ルールを変えたり、ある課題へは複数の改善案があり得ます。解決を急ぐと、それ以外の策に気づかなくなります。少々じれったくても、一歩一歩確認しながら進めていくことが望ましいです。

3:目標を実現するための具体的な解決策を練る

目標が決まったら、やっと具体的な解決策を考える段階です。できるだけ多くの案を出した中から、限られた予算・時間・労力に対して、目標を達成するのに効果的な改善箇所・方法を取捨選択しました。

職員達が考えた案を元に、大々的な改修工事を計画した施設もあります。本気になって考えると、驚くようないい案が出てきます。その知恵を活用しない手はありません。職員の創造力を引き出す仕組みが、環境づくりの正否を決めるのかもしれません。(キャプション評価法のやり方 参照

古賀たかあき 一級建築士・環境心理学研究者
シルバー新報 2006年(平成18年)5月26日

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