環境づくりプログラムとツール
環境づくりメンバーが考えをまとめたり、コミュニケーションを支援するために、いろいろなツールが用意されています。
ステップ1では、環境への気づきを高めます。その手がかりとして、PEAPを用います。
ステップ2では、現状の課題を抽出して目標を立てます。キャプション評価法、重要度・満足度マトリックス、目標設定ツールが開発されています。
ステップ3では、計画を立案します。ケア環境のインテリアデザイン、生活シミュレーションシート、効果のものさし、アイディアシートなど、具体化に向けて進むためのツールが用意されています。
ステップ4は、環境を変える実践です。計画立案シート、物品調達シートなど、実践の場で使えるツールが開発されています。
これらのシートや施設環境づくり実践ハンドブックPart3をダウンロードして、紙上ワークショップを体験してみませんか。
| STEP | プロセス | ツール | |
|---|---|---|---|
| 1 | ケアと環境への気づきを高める | 施設内勉強会 | PEAP |
| 施設環境の現状評価 | 多面的施設環境満足度評価 | ||
| 環境づくりの組織づくり | |||
| 2 | 環境の課題を抽出し目標を立てる | 施設の環境を点検する | キャプション評価法 |
| 課題の整理 | 重要度・満足度マトリクス、ハンドブック3 | ||
| 環境づくりの目標の決定 | 目標設定シート »使い方 | ||
| 3 | 環境づくりの計画を立案する | インテリア環境について学ぶ | ケア環境のインテリアデザイン(CD版) |
| 生活シミュレーション | 生活シミュレーションシート »使い方 | ||
| ものさし選定、事前評価 | 効果のものさし、ハンドブック3 | ||
| 改善案の収集・整理・選択 | アイディアシート »使い方 | ||
| 中間報告会 | |||
| 4 | 環境を変える | スケジューリング・予算化 | 計画立案シート、ハンドブック1 |
| 発注・購入など | 物品調達シート、ハンドブック1 | ||
| 動かす・変える など | |||
| 5 | 新しい環境を活かす | ケアプラン・生活プランに取り入れる | |
| 業務に取り入れる | |||
| 6 | 環境づくりを振り返る | 事後評価 | 効果のものさし、ハンドブック3 |
| 施設の現状評価 | 多面的施設環境満足度評価 | ||
| まとめの報告会 | |||
キャプション評価法のやり方
キャプション評価法は、環境づくりの6ステップのうち、主にステップ2の「環境の課題を抽出する」で用いることをおススメする環境評価手法です。
元来、都市景観評価のために1995年に開発された手法である。その手法を施設環境評価に援用しました。※
施設内の気になる箇所(物事)をカメラで撮影し、それについてのコメントを決まった書式に従って記述します。写真とコメントのセットで1枚のカードになります。(詳しくは記述例をご覧ください)
キャプション評価法の特徴
- 1.評価(撮影)対象を限定しません。このため、評価者(撮影者)が何について注目したのかをそのまま把握することが出来ます。
- 2.評価する言葉を限定しない。評価について、あらかじめ設定された選択肢から選ぶのではなく、評価者が普段使っている自分の言葉で評価(記述)することが出来ます。このため、評価者はかしこまらずに自由に意見を述べることができ、カードを見る人は生の意見を知ることが出来ます。
- 3.評価すべき対象を評価者が自主的に探します。注意深く施設環境を見ることで、対象に対して関心を持ち、理解が深まり、その結果新たな魅力や課題を発見することが出来ます。
- 4.学習効果を期待できる。自分の嗜好を再認識したり、他人のカードを見ることで、価値観の多様性を知ることが出来たりする、という学習効果もあります。
職員だけでなく、利用者さん、ご家族などにも参加してもらい、さまざまな立場から施設環境を見直してみると、普段見慣れた環境のなかにも思わぬ発見があると思います。
あまりかしこまらずに、楽しく取り組んでみましょう!
※参考文献
よりよい環境創造のための環境心理調査手法入門 日本建築学会編 技報堂出版
やり方ー準備・撮影編
準備編
- 参加者を募る
- カメラを用意する
- キャプションカードをダウンロードする
撮影編
- 可能な限り、評価者は自分で撮影します
カメラとメモ帳、筆記用具を持って、施設の中(建物の外も含む)を自由に歩きまわります。そして、
| 「良いなあ、好きだなあ」 | 「嫌だなあ、嫌いだなあ」 | 「何か気になるなあ」 |
| と、感じた空間・場所・部分があれば、そこをカメラで撮影します。直感で構いません | ||
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やり方ーキャプションカード記入編
ダウンロードしたキャプションカードをはさみで切り、以下のように記入し、写真の横にのりしろで貼ります。
記入例

- ① 評価 撮影した対象は、○(よい、好きだなあ)/×(わるい、嫌いだなあ)/?!(何か気になる)のどの評価ですか?
1つに○をつけてください。 - ② 評価者No このカードの記入者は誰ですか?
(名前を書くことに抵抗がある場合は番号で管理してください) - ③ 何の? 撮影した対象(場所や物、出来事などなんでも)は何ですか?
(例:談話コーナーの空間) - ④ 特徴 どのようなこと(特徴)に注目しましたか?
(例:椅子はあるけど机がない) - ⑤ 頻度 それは、いつも/たまに/はじめて 思ったことですか?
1つに○をつけてください。 - ⑥ 印象 対象についてどのように思いましたか?
(例:机があった方が居心地が良いのでは)
やり方ー活用編
集まったキャプションカードはどのように使っても構いませんが、使い方の例をいくつか紹介します。
- ① 撮影箇所別にカードを集め、評価(視点)の違いを見る
- ② ○、×、?!の評価別にカードを集め、良いあるいは悪い評価がされる条件を見つける
- ③ PEAPの次元ごとにカードを分類し、次元ごとの環境の傾向をみる
などが、使い方として考えられます。
また、分類が出来ない場合には、全てのカードを
- 人の目に付きやすい壁に貼り出す
- それを眺める
といったことだけでも、環境に対する関心は高まるでしょう。
重要度・満足度マトリクスの使い方
このシートは、たくさん集まったキャプションカードを整理するためのものです。
キャプションカードの内容について、縦軸は重要度を横軸は満足度を示します。
写真にあるように、メンバーと話し合いながらカードを置いてみましょう。
重要度が高いがまだ満たされていない項目が、環境づくりの優先課題になってきます。
大切なことは、じっくりとキャプションカードの内容の重要度や満足の状況をみんなで話し合いながら、整理を進めることです。このシートは用意されていませんので、大きな紙を使って作成して下さい。
目標設定シートの使い方
入居者にとり重要度が高く、実行すると満足度が向上する環境課題を抽出します。 ここでは、利用者にとって、食堂・リビングを、利用者が過ごし方を「選べる」ような環境にすることが目標に掲げられました。
生活シミュレーションシートの使い方
目標とする施設環境づくりで、入居者にどのように過ごしてもらいたいか、理想の生活を朝、昼、夜について具体的にシミュレーションするためのシートです。理想の生活とそれによって得られる効果をみんなで話し合いながら、イメージを共有しましょう。
アイディアシートの使い方
理想の生活や期待する効果をイメージしながら、施設環境づくりのアイディアをブレーンストーミングによりできるだけたくさん出していきましょう。アイディアシートは、アイディア出しとその整理を支援するツールです。出てきたアイディアを、「物理的環境」「ケア的環境」「運営的環境」に分けて、青・黄・赤など異なる色の付箋に書き、縦軸にPEAPの8次元、横軸に実行しやすさを表すアイディアシートに付置します。写真では、8次元にバランス良くアイディアが出されていることが分かります。


